October 11, 2009

スティーヴン キング「 ドラゴンの眼」

 スティーヴン キング「 ドラゴンの眼」を読みました。キングには珍しい"子供向け"ファンタジーとのことですが、対象年齢はあんまり低くないような気が...結構大人向けの描写が最初から出てきますので注意が必要です(^-^;)
ドラゴンの眼〈上〉 (単行本)
スティーヴン キング (著), Stephen King (原著), 雨沢 泰 (翻訳)
アーティストハウス
\1886 +税
286

on 2009-10-11 00:09:24


ドラゴンの眼〈下〉 (単行本)
スティーヴン キング (著), Stephen King (原著), 雨沢 泰 (翻訳)
アーティストハウス
\1886 +税
317

on 2009-10-11 00:10:17


 古い歴史を持つデレイン王国の"善良王"ローランドは最悪でも最高でもない平凡な王様で、平凡なトップによくあるように、何でも任せられる側近がおりました。ただ、それが何やら怪しげな、だけど力はある魔法使いだったのが、その後の災厄の種となります。その魔法使い−フラッグは、実は何百年も前から生きて何度か同じ王家に仕えてきており、ローランド王の代りに政務の多くをこなして影響力を王宮の中で伸ばして来ていたのでした。
 ところで、ローランド王には二人の王子、ピーターとトマスがおりました。長男ピーターは母である女王サーシャに似て賢く、長身で勇気もありましたが、次男トマスは平凡なローランド王に似てガニマタで見栄えのさえない子でした。サーシャはトマスが生まれた時に亡くなってしまったので、トマスには母親の記憶がありません。それなのに、ローランドと違って国民に愛されたサーシャが亡くなった原因だと言われたりしてさびしい思いをかかえていました。
 そんな兄弟を見て政務を握るフラッグは、知恵の回るピーターを遠ざけ、父王と似て扱いやすいトマスを王位につけようと画策します。そしてある日、ついにフラッグはピーターにローランド王毒殺の汚名を着せて、王宮の中にある「針の塔」に幽閉してしまうことに成功します。
 絶望するピーター...しかし、賢いピーターは自分を律して塔を脱出する方法を考え出します。果たしてピーターは脱出に成功し、フラッグの野望を打ち砕けるでしょうか?

 ...というわけで、題名から想像してしまうようなドラゴンが大活躍するような、妖精物語ではなく、どちらかというと「モンテクリスト伯」のような、人間的な復讐譚でした。
 主人公のピーターの超人的な脱出計画も面白いのですが、彼を取り巻く人々−執事のブランドンとデニス父子、法務長官ペイナ、親友ベン・スタード、ベンと行動するナオミ、看守長ベッソンなど、登場人物がみなきっちり仕事していて楽しいですね。弱いところをフラッグにつけ入られる弟のトマスも、決してフラッグの言いなりになってばかりいるわけではなく、やがて大事なキーマンになってくるし、なかなか飽きさせません。
 さまざまに張り巡らされた伏線が終盤一気に回収されていくところはさすがキングです。

 しかしまあ前半の王家の中のフラッグの暗躍と各人物の絡みはちょっと冗長な気もしました。本当の意味でファンタジーらしい「冒険」のシーンが出てくるのは最後の最後なので、活劇としての面白さを期待するとちょっとはずすかも。
 個人的にはベッソンとペイナとのくだりが割りと好きでした。
(^-^)

Posted by roku at 12:05 AM | from category: topics 本/Web読み物・雑誌/素材
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