December 14, 2008

METライブビューイング2008-2009「ファウストの劫罰」

 前回「サロメ」を観たMETライブビューイング。今度はロベール・ルパージュ演出の「ファウストの劫罰」です。
■METライブビューイング2008-2009:::MOVIXさいたま・柏の葉:::
■METライブビューイング | 松竹
 資料画像はこちらのブログに少しあります。
■蘭丸のオペラ日記 in シアトル:ファウストの劫罰(ライブHD) - livedoor Blog(ブログ)
■〈第3作〉ベルリオーズ『ファウストの劫罰』(新演出)
2008年12月13日(土)〜12月19日(金)1日1回10:00〜12:55上映
上映時間:2時間55分/休憩:1回
 ロベール・ルパージュは「アンデルセン・プロジェクト」や「月の向こう側」で「すごい!!」と感動したカナダの演出家・俳優さんで、シルク・ドゥ・ソレイユの演出等もやっている人です。舞台空間を映像と装置によって独特で新鮮な世界に変える魔術師です。
 「ファウストの劫罰」はベルリオーズ作曲の「劇的物語」で、普通演奏会形式で上演されることが多い。今回のようなオペラ形式での上演は珍しいそうだが、出演者へのインタビューを聞くと「キャラクターに感情移入しやすいのでよい」という。
■ファウストの劫罰 - Wikipedia
■劇的物語 ファウストの劫罰
■ファウスト - Wikipedia
 舞台には鉄骨で作られた4層6列の巨大な枠組みがセットされ、その枠の前後(客席側と奥側)に映像を投射するスクリーンが自在に出し入れされる。その枠組みは場末の居酒屋になったり、市民の住む家になったり、薄暗い森になったり、敬虔な雰囲気の教会になったり、兵士達が前進し撃たれて死んでいく戦場になったり、処刑場に馬を走らせる道になったり、そして最後には地獄と天国にもなったりする。従来の「オペラの舞台はこういうもの」というイメージを大胆に壊してくれる。

 この舞台の上で展開される劇がまたすばらしい。年老いて疲れた姿から若々しくエネルギッシュな姿になる(といっても壮年だが)ファウスト、眼光鋭く皮肉な笑みを浮かべながら人の心を操るメフィスト、そのメフィストに操られてファウストと恋に落ちるマルグリット(呼び合っているのを聞くと“マルガリータ”)など、歌手−役者たちが皆、見せて聞かせてくれる。
 ルパージュの舞台は場面転換が複雑で、体力的にも相当きついはず(日本版の「アンデルセン・プロジェクト」をやっていた白井晃さんがそういっていた)なのに、その上すごい声量で歌まで歌わないといけないのだからすごい。舞台裏のシーンでマルガリータ役のSusan Grahamが度々水分補給していたところとか見るとその苦労がちょっと想像される。
 ちなみに凝りに凝った舞台で演じる役者たちに、自分がどのように観客から見えているかはわからない。役者−歌手は観客に向かって歌い、演じなければならないので自分の後ろにあるセットで行われていることのすべてを舞台上で見ることが出来ないのだ。ルパージュの作るカラクリは先端的で、舞台上の役者の動きに応じて背景に投影される映像もリアルタイムで変化する。戦場を行進し、撃たれて倒れる兵士達の動きに合わせて、戦場の丈高い草がゆれたり、ファウストをたぶらかすメフィストの動きに合わせて森の木々が葉を落として枯れていったり(これは3-DCG大活躍ですな)と、見るものを驚かせてくれる。しかし演じるものにとっては、最近のVFX映画でブルースクリーンの前で演じる役者と同じく、想像力を働かせて役に没入するしかない。
 ルパージュの舞台は鮮烈で驚きに満ちているので、つい視覚効果の方に気が向いてしまうが、実際にはその効果で伝えられる物語のイメージはとても直接的で心に響いてくる。

 いかにも誘惑しそうで悪魔的な風貌のメフィストを演じたJohn Relyeaはかっこよかったですね。声も色っぽくて素敵でした。基本的に善人だが融通の利かないファウスト(Marcello Giordani)や純情で哀れなマルガリータ(Susan Graham)は、ある意味欲望に忠実な人間らしいキャラ。二人ともよかったですが、特にマルガリータを演じたSusan Graham、声質がやわらかくて響きもよかったです。
 “ルパージュ演出”というだけでも“買い”の舞台でしたが、音楽やお芝居も素敵で楽しめました(^o^)v

 ルパージュの「アンデルセン・プロジェクト」の映像がYouTubeにあったので、ついでに貼り付けておきます。(^-^)

 インタビューが多いのですが、舞台の部分は今見てもやっぱりすごいなぁと思いますね。また日本に来ないかなぁ(^-^;)
Posted by roku at 02:04 AM | from category: topics 音楽
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