March 08, 2005

灰羽連盟

借りて来て先週からぼちぼちと見ていた「灰羽連盟」(全五巻)を見終わった。なかなかよかった。
灰羽連盟 COG.1
監督: ところともかず, 原作・脚本: 安倍吉俊, 出演: 広橋涼, 野田順子, その他
ジェネオン エンタテインメント
¥2,100 (税込)
1

on 2005-03-08 02:17:30


どこかのサイトで薦められていたので借りたのだが、思っていたより地味な、だけど不思議で温かい味わいのあるシリーズだった。元々はフジテレビで2002年10月から12月に放送された深夜アニメ。
舞台はグリと呼ばれる壁に囲まれた街のはずれにあるオールドホームという古い建物。そこには背中に灰色の羽根と頭に天使の輪のようなものをつけた「灰羽」と呼ばれる少女達が住んでいた。
新入りの「ラッカ」は冒頭で空中を落ちて行く夢を見た後、オールドホームの一室に現れた大きな繭から10代の少女として生まれる。「ラッカ」の名前は繭の中で見た「落下」の夢にちなんでつけられたものだ。生まれたばかりのラッカの背中には羽根は生えていないがすぐに背中から皮膚を破って翼が生えてくる。いろいろと大変なこのイニシエーションの過程を灰羽の先輩であるレキが優しくサポートしていく。
オールドホームにはレキの他にネム、カナ、ヒカリ、クウという年長の(といってもせいぜい20代位まで)の女性の灰羽達と年少組という子供の灰羽達、そして寮母さんという普通の人間が住んでいる。
灰羽達は「灰羽連盟」という、顔を仮面で隠した男達からなる組織の管理下にあり、グリの街では何かしら仕事を持って働いている。だがお金を使うことは灰羽達には許されておらず、灰羽連盟から配給されるノートを金券代わりに使う。街の人間達は灰羽達には非常に親切に接している。
街は壁に囲まれているが、灰羽達も人間達も壁に近づくことは許されておらず、壁の外との交流はたまに訪れるトーガと呼ばれる集団と灰羽連盟の話師(わし)と呼ばれる者達との間で行われる交渉に限られる。人間以外では鳥達だけが壁の内と外を自由に行き来できる。また灰羽達は許可なく話師と直接言葉で話してはいけない、壁に触れてはいけない、等いろいろなタブーが課せられている。
暮らしている人間はごく普通だけど、その成り立ちや産業など謎の多いグリの街。そして「灰羽」という存在は一体何なのか?
わからないことが多いスタートだったが、あまり波乱のないごく地味なドラマが進むうちに少しずつ疑問に答えが出されていく。後半、灰羽には「巣立ち」が運命づけられていることがわかってから、ドラマは段々加速していく。あまり明示されて来なかったこのドラマの主題がここに来て明らかになる。

原作は「TEXHNOLYZE テクノライズ」のキャラクター原案や「serial experiments lain」のオリジナルキャラクターデザインでも活躍していた安倍吉俊。同氏の同人誌マンガをアニメ化したものらしい(ただし2chで拾った情報によると同人誌の内容はアニメシリーズの第二話までで消化してしまっていて、以降はシリーズのオリジナルとのこと)。アニメでは脚本、シリーズ構成も自ら行っていて、世界観や物語の隅々までコントロールしている。
監督はところともかず。実はこの人の名前、藤川桂介のファンタジーシリーズ「宇宙皇子(うつのみこ)」の挿絵でも見ているんですけど、同じ人ですよね?(ちなみに表紙はいのまたむつみ)

振り返ってみると、グリの街で短い間仮そめの生を生きる灰羽達は、死んだ人のモラトリアムというか、再生とか転生とかの前の短いイニシエーション(通過儀礼)を生きているように思える。そういってしまうと身も蓋もない感じだが、「スカイハイ」のような重さはなく、ごく日常的な生活の描写は細やかだ。そういった平凡だけど心温かな生活の中にある(まさに”そこにこそ”ある)人と人とのつながりと許し(あるいは愛)を浮かび上がらせる。それこそがこの、謎な世界を舞台にしながらも不条理物や強い純愛物の方には行かないやわらかな物語の「芯」なのだと思う。

■関連リンク■
■灰羽連盟 ホームページ:キャラや設定の紹介等。
■Haibane Renmei:英語版ホームページ
■Amazon.co.jp: 検索結果 : 灰羽連盟:DVD、CD、画集等関連商品の一覧になっている。
■灰羽連盟:各回のデータと解説。完全ネタばれ。見た後で読むべきかも。コメント内容には共感出来た。
■AB's HOMEPAGE:原作者、安倍吉俊氏のサイト。

Posted by roku at 12:11 AM | from category: topics 映画/アニメーション等
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