November 10, 2008

池上 永一:「ぼくのキャノン」

 池上永一さんの「ぼくのキャノン」を読みました。沖縄戦という重い過去を背負いつつも、現実の現代史とは別次元の破天荒な歴史を刻んできた村の人々の物語。元気さをもらえます(^o^)v
ぼくのキャノン (単行本)
池上 永一 (著)
文藝春秋
¥ 480より
320

on 2008-11-10 00:23:58


 沖縄で一番豊かな村の守り神−それは帝国陸軍の九六式カノン砲「キャノン様」。村を統べるノロ(巫女)のマカトオバァ、泥棒稼業のチヨ、ハードボイルドな樹王ら三人の老人とその三人の孫、雄太、博志、美奈たちは、村の開発を企む美女や、怪しげなアメリカ人と対決することに。あいかわらず設定からムチャクチャな三老人と、彼らが豊かに育ててきた村がおかしい。村には男衆と寿隊という独自の組織があり、マカトオバァのご託宣で村人を動かしたり、外敵をやっつけたりしている。村では何故か時々大きな爆発があるのだが、マカトはそれを「キャノン様のたたりじゃぁ」ということにしている。しかしどうもマカト達は何か隠しているらしい。そもそも村は何故、給食施設や厚生施設をはじめ近隣村落では考えられないほど豊かなのか?「キャノン様」とは一体何なのか?
 おりしも9.11の同時多発テロの後、何故か怪しいアメリカ人が村の周囲を嗅ぎまわり始める。そして過去に一度リゾート開発のため土地を買収しようとやってきてマカト達村民の抵抗で撤退した企業の、超金持ち女社長が再び村を虎視眈々と狙い始める。
 村と、そして三人の孫たちの行く末は?

 時代が移り変わり、世代交代の時期に訪れた村の危機を、三老人と孫たち、そして村人が乗り切っていく姿が痛快。背景となっている沖縄戦の事実は重く、キャノン様と老人たちの絆が泣かせる。しかし帝国陸軍って一体何様だったんだ?
 ちなみにこのキャノン様、伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」を思い出させます。

 第二次世界大戦という過去を共有するパラレルワールドファンタジーですが、しおれ勝ちな現代の自分たちも「もっと元気を出して」とキャノン様に励まされているような気がしてきます。

Posted by roku at 12:12 AM | from category: topics 本/Web読み物・雑誌/素材
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